2025.09/10
選手や保護者に向けて、座学でフェンシングの技術や知識についてお伝えする第2回アカデミアプログラムを9月7日、MNHフェンシングクラブで開催しました!
大久秀チーフコーチが「試合中の心得、戦略について」をテーマに約1時間半にわたってお話ししました。

フェンシングは、メンタルがとても重要なスポーツです。中でも、 “自信”を持つことが結果を左右すると言われています。大久コーチは、「ポジティブ思考が大切です。根拠のない自信が勝利につながります。この自信は、『これだけ練習をしたのだから大丈夫』というように、練習量が支えになります」と説明します。
大会の日の朝、会場に着くと、子どもが緊張しているケースがよく見られます。大久コーチは、「うちのクラブでも、子どもに『緊張している?』って聞くと、『勝てるかな』って弱気な返答をする子が多い。自信がないんですね。ここで自信を付けるためには練習をたくさんすることが大切です」と話します。練習が自信となり、メンタルが落ち着くことで安定した結果に繋がると言います。練習は、中身も重要で、何となくやった練習は身になりません。「プール戦で2勝したい」「トーナメントで1勝したい」というような目標を設定して、日々の練習に取り組むことも、具体的な手法のひとつです。
フェンシングの難しいところのひとつに試合中の気持ちのコントロールがあります。スポーツなので、勝ちたい気持ちは大切です。一方で、勝ち気が強すぎると、冷静さを失い、思考力の低下を招きます。もちろん、冷静さだけでも、相手に淡々と点数を取られて負けてしまいます。
大久コーチは「対人競技なので、相手を観察して研究しながら対策をするためには、冷静な判断が必要です。けれど、点差をつけられた時に手遅れになる前に気持ちでしっかり追いつくような熱い気持ちも大切です」と言います。

保護者にとって、大会会場での子どもへの声かけは難しいもののひとつです。小学生、中学生は保護者の声かけひとつでメンタルが左右されます。「まずは勝ったら褒めてください」と大久コーチ。クラブの子どもたちの中には、試合が終わって勝っても負けても保護者の顔を見る子が少なくありません。それは、保護者に認めてもらいたいという気持ちが強くあるからです。
保護者が改善点を指摘した時に、子どもに聞いてもらえなかったり、ケンカになったりするケースもよく見られます。「言いたいことがある時は、ぜひコーチを使ってください。『レッスンの時に、コーチが剣が大きいとだめだよ、って言っていたよね?今の試合、剣が大きかったんじゃない?』というように声を掛けると、子どもも納得しやすい」と言います。
「がんばれ」も試合中の声がけとしては、タブーと言われています。大久コーチは、「がんばれではなく、『剣が大きいよ』『足が止まってるよ』などと気づきを与えてあげられる声がけができるといいですね」と参加者にアドバイスしました。
選手・保護者・コーチなどフェンシングに携わるすべての会員の皆さまに向けた座学によるスキルアップ・学びの機会です。
技術的な実技指導とは異なり、「戦術理解」「メンタル」「育成理論」などの観点から、フェンシングをより深く・広く捉える視点を養っていただくことを目的としています。