2024.09/03
当クラブでは、設立以来、小学生からご高齢の方までがひと所に集まって練習しています。
私も顔を出すことがありますが、とてもアットホームで、和気あいあいとした雰囲気が漂っています。
ご存知のように、フェンシングは体力がすべてではなく、駆け引きが重要です。そもそも、歳をとっても若い人に勝てる競技は、フェンシングと剣道だけだといわれています。
学生さん相手に挑んでいるご高齢の方や、男性相手に積極的に突いている女性もいらっしゃいます。また、ご自身より年上の方が大きな試合に挑戦している姿を見て、「自分もいつかは出たい」とモチベーションに変えている方もいらっしゃるようです。そんな姿を見ると、改めて「誰にでもいくつになっても楽しめるスポーツなんだな」と実感します。
ちなみに、練習会では、私も若い方と対戦することがあります。勝つこともありますが、何度か対戦していると手の内を読まれるのか、お子さんにも結構負けてしまうんですね。すると「菅さんに勝ったぞ!」とものすごく喜んでもらえる。それもなんだか嬉しいような、悔しいような…(笑)
そんなことも含め、今後もコーチとともに、スポーツの良さが存分に発揮できる雰囲気を大切にしていきたいと思います。
このように、フェンシングは長きにわたって楽しめる魅力あるスポーツだと思っています。ですので、これからなにかスポーツを始めるのでしたら、ぜひフェンシングを選択肢として考えていただけると嬉しいです。
ちなみにフェンシングは3種目あります。
お子さんの場合は、向き不向きもありますので、とりあえず全種目を試してみるのがいいかもしれません。一番ポピュラーな種目であるフルーレから始めるのもありですし、コーチにアドバイスをしてもらってもよいでしょう。
また種目に迷われた場合は、私の取り組んでいる「エペ」を、ぜひお勧めしたいな、と。
エペは「先に突いた方が勝ち」という極めてシンプルなルールです。
頭からつま先まで全身すべてが有効面で、とにかく相手より先に突けばいい。偶然に当たってポイントが取れる時もありますし、両者同時に突きが認められた場合は、両方に得点が入る(両突き)。そんなふうにとにかく自由度が高い種目なのです。ですので大人から始める人は、特にエペが取り組みやすいのでは、と思っています。
当クラブでも、60代でエペを始めた男性の方が、5年目にして全日本選手権で3位という成績をおさめられました。女性では、始めてから3年目で都民大会の1位と3位になった方がいらっしゃいます。特に女性は競技人口がまだ少ないので、努力次第で世界大会への参加も夢ではないと思います。ぜひがんばって挑戦していただければ、と願っています。
民間のスポーツクラブの一番の強みは、「自由度の高さ」でしょう。
例えば、日本においては、特に30代以上の女性がフェンシングに取り組める場所がないのが課題です。当クラブでも女性限定のクラスを設けるなど工夫をしています。今後も、女性が取り組みやすいきっかけづくりをしていきたいと考えています。
ちなみに、当クラブの練習会は、所属をしていない人でも飛び入りで参加ができます。フェンシングを楽しみたい人がさまざまな経験ができるよう、今後もどんどん外に開いていきたいと考えています(*)。
また、通常のスポーツは男女別・年代別の試合がベースですが、誰でもいくつになっても取り組めるフェンシングの特性を活かして、多世代・男女混合の試合などを企画してみるのも、おもしろいかもしれません。
会員同士の横のネットワークを強化し、何かしらのイベントを開催して交流するのも楽しいと思います。ここに来る人がフェンシングを通じて新たな人と出会い、世界が広がっていく。そんなふうに、今までにないフェンシングのコミュニティを作れたら良いですね。
一方で、近年、健康寿命の延伸に向けて政府や自治体が各々取り組んでいるように、いつでも誰でもスポーツに取り組めるような環境整備は、わが国の喫緊の課題となっています。
しかし、お伝えしたように、部活動としてのフェンシングが中心の日本においては、相応の対価を払ってスポーツを教えてもらうという文化が育っていません。また、部活は学生などが取り組みやすいメリットもありますが、いったん卒業したら当然ながら戻ってはこれません。
この点においても、民間のスポーツクラブがきちんと維持されることは、その地域や住民にとって今後とても大切な価値になり得ると考えています。
民間のスポーツクラブとして、通ってくださる皆さんの人生に、一気通貫して寄り添える場を作っていきたい。
MNHフェンシングクラブの役割が、いっそう輪郭を帯びてきたのを感じています。
*
「MNHフェンシングクラブを選んで良かった」。
そんな声を聞くと、本当に嬉しく思います。
これからも、集う人がスポーツの楽しさや一体感を存分に味わえるような、温かいクラブにしていきたいな、と切に願っています。そして、フェンシングを通じて、それぞれの方に新しい「生きがい」が生まれたら、私としてもこれ以上嬉しいことはないと思います。
長くなりましたが、今後とも当クラブを末永くよろしくお願いいたします。
(*)MNHスポーツでは、フェンシングに取り組む日本中の小・中学生に“世界の舞台”を体感してもらうために、2025年に武蔵野の森総合スポーツプラザにて東京国際フェンシング大会を企画している。