2025.09/19
選手や保護者に向けて、座学でフェンシングの技術や知識についてお伝えするアカデミアプログラム。第3回を9月14日、MNHフェンシングクラブで開催しました!
大久秀チーフコーチが「剣の仕組み、整備」をテーマに約1時間半にわたって実際に剣を分解しながら、整備方法などを詳しく説明しました。
剣は選手にとって大切な道具です。剣は、大きく剣身(ブレード)、ガード、ソケット、ヒルト(持ち手)に分解できます。
試合中に剣身が折れれば、剣身だけを買い直せば、ガードやソケット、ヒルトは使い回しができます。ガードが割れれば、ガードを交換します。剣身も、剣身を通る銅線が断線しただけなら、銅線を張り替えれば、剣身はそのまま使えます。剣のどこかが壊れたからといって、すべてを新品に買い替える必要はありません。
大久コーチは、「剣が壊れた時は、直せるのか直せないのか。どこを買い直せばいいのか、コーチやショップに気軽に聞いてください」と話します。
次に、剣身の先には、ポイントが付いています。このポイントに、フルーレなら500グラム、エペなら750グラムの負荷がかかると、ランプが点灯します。このポイントは、ポイントベースという筒と、ポイントヘッドに大きく分かれます。大久コーチは、「大会前、このポイントを掃除することがおすすめです」と言います。
具体的には、ポイントヘッドは、小さなビスで固定されています。精密ドライバーでビスをとると、ポイントヘッドとバネが外れます。家庭にある綿棒で、ポイントベースの中をくるくるとなぞると、煤やサビ、ホコリが取れて、綿棒が黒くなります。掃除が終わったら、またネジとポイントをビスで止め直せば掃除は終了です。
講座では、実際に掃除をしているポイントとしていないポイントを参加者が触って、違いを確認しました。大久コーチは、「掃除をしていないポイントは、押した時に小さな引っかかりやざらつきを感じます。わずかな差ですが、掃除をすることで、ポイントの動きがスムーズになります。試合前は剣テープも合わせて巻き直しましょう」と話します。
大会では、武器や道具のトラブルが多く起きます。例えば、試合中に白ランプが付いて、ピーピーと警告音が鳴る場合、まずはヒルトに緩みがないか確認します。ヒルトが緩んでいると、ソケットの接合部が緩んでしまい、接続が不安定になります。その場合、六角ナットを締めるT字レンチでヒルトを締めれば解決します。
剣身とポイントの部品はメーカーによって仕様が異なります。小さなビスでさえ、メーカーが違うと使うことができません。そのため、予備の部品についても、同じメーカーでそろえる必要があります。特に、試合中にポイントが外れた場合、ポイントやバネは見つけやすいですが、ビスは小さく、見つからないことも多いです。ビスは数個単位で購入できるので、ショップに行った時に一緒に買っておくことがおすすめです。精密ドライバーは、100円ショップでも購入することができます。
選手・保護者・コーチなどフェンシングに携わるすべての会員の皆さまに向けた座学によるスキルアップ・学びの機会です。
技術的な実技指導とは異なり、「戦術理解」「メンタル」「育成理論」などの観点から、フェンシングをより深く・広く捉える視点を養っていただくことを目的としています。